Something

Takeshi Hirano

恩師

近所に住まわれている中学の恩師
時々、道端でお会いする
度に「平野、少しは本気になったか」が口癖の様だ
先生のお言葉は中学のころから私には教訓である
未だ「本気になれない自分がいる
だけど「決断」の時がきた
自分の中心にはナム、ナム、ナム、南無……

 私には人生の中で恩師と思っている方が二人もおられます。お二人とも既に亡くなられましたが、心の財産をたくさんいただいています。
一人は中学時代、一人は大学時代に出会っています。
 中学の恩師は私達生徒達の心の中に今でも生き続けている”一心会だより”を日々書いて届けてくださいました。当時の原稿は今でも保存しています。既に半世紀も過ぎていますからセピア色に変色しています。かつて、その原稿の中から100編程選んで、編集して小さな”まごころ”という本を作って先生にプレゼントした事があります。
 その中の”花と緑”の章に紫陽花(アジサイ)の文があります。今回抜粋して載せておきます。

 あじさいが今頃咲き始めている。紫陽花と書く。紫の太陽のようなこの花は梅雨の時期に花を咲かせる。そして,花の色が変わるのが特徴である。辞典で調べると,緑から白そして青紫に変わるとある。けさ見たあじさいは緑に近い色であった。あじさいは雨の降る季節にふさわしい花である。しかも,雨を嫌っていない。毎日降り続ける雨を楽しんでいるような姿は派手でもないし,地味でもない。梅雨のうっとうしさをおよそ感じさせない。昔からあじさいは花の色が変わるところから,人間の心変わりするのにたとえられ,花ことばも変心,無節操となっていたように思う。しかしそれは友達やいろいろな人に裏切られた人が感じたのであって,あれこれ色を変えてまで,自分の美しさを創り出そうとしているこの花の誠意を感ぜずにおれない。しかも,じめじめした中で,すこしでも人々の心に明るさを与えようとしている捨て身の美しさには,ただ感嘆するほかはない。
 全く地上における紫の太陽である。

HYDRANGEA

The Hydrangea is blooming now. In Japanese characters it is written as “shi you ka” (purple sun flower). Looking like violet sun rays, it blooms in the rainy season. One of its characteristics is that it changes color. According to the dictionary, it changes from green to white to blue violet. The one I saw this morning was almost green, harmonious with the rainy season. Actually it doesn’t dislike the rain at all. If you look at it, it seems to be enjoying the rain falling every day. Neither too gaudy nor too plain, it helps you not to feel the gloom of the rainy season.

In days gone by the words used to describe this flower were “changing heart” and “infidelity”.Its color changes were compared to the changes of the human heart, as when someone betrays a friend. However, I cannot help but feel that the flower is sincere in trying to create self-beauty by changing from one color to another. Moreover, I can only marvel at the wonder of how, in self sacrifice, it gives of itself to brighten our hearts a little in gloomy seasons. It really is like a “purple sun” on the earth.

 又、この”花と緑”の章は、私の大学時代の恩師が2000年、北海道の帯広で開催された獣医世界放射線学会の主催者でしたので私もお手伝いする中、中学時代の恩師の”まがころ”の一部である”緑と花”の章を英訳して、各国のメンバーの方々にお渡ししました。世界へ届け”まごころ”の気持ちでした。その中の HYDRANGEA です。