Something

Takeshi Hirano

八月は祈りの月

5~6年前になるのかな
元宇品港での花火のスケッチ
病室から眺める少女の顔を思い浮かべて描いた
悲しさと不安からお空が真っ黒になった
その後、少女は元気になり
私のもとから元気に巣立っていった
また花火がやってきた
また、スケッチした
お空の色がきれいなブルーになっていた

毎年原爆記念日が近づくと
幼少の頃母親からよく聞かされた体験談を思い出してくる
Augustはある意味でこころ高ぶる月だ
世界平和の為に真摯な気持ちで祈りたい

ある男が碑文を読んでいた
何分も立ちつくしている姿に
画家はある共鳴を覚えた
画家がその姿を写し取っている間中
男は身じろぎひとつしないでいた
いつもの夏よりずっと暑い
ある夏の日のことである

平和記念日が近づくと
公園に多くの人々が集まってくる
自分も式典前日に行ってみた
平和のメッセージを語る女性と
楽器を奏でる二人の男性が目に留まった
彼らはまさに平和のメッセンジャーだ

元安川
とうろう流し
平和記念日に納められた名簿には
母の名がある
この頃は8月6日が特に胸に沁みる
鎮魂の帯が連なっていた