向洋駅北口が自宅のすぐ傍にあります。愛犬ももの散歩中最初に立ち寄る場所で5分くらい駅舎周辺の風景を落ち着いた気分で眺めています。
午前6時30分ごろは通勤、通学の時間帯でないので。駅舎南側に黄金山を背にしています。春にはピンクの桜帯を巻くこの山を見るのも楽しみの一つです。
現在、この辺りは開発工事で目まぐるしく変化しています。今後、大正時代に開業した向洋駅の駅舎も移転するそうで、高架事業にともないこの古い南北をつなぐ跨線橋も撤去されるので余計に郷愁じみた想いが見るたびに私の中に発生してきます。
駅は私にとって人生の始まりと終わりをエンドレスに提供してくれる格好の場所になってくれます。夏のシンボルのひまわりが北口駅舎前に線路に並行して植えられていました。今は既に10月半ばですから当然ながらその場所には姿を見ることはありません。ひまわりってグングン成長しながらギラギラ、暑い夏空に一斉に自己アピールする力強き「向日葵」。私たちに生きる力を提供してくれます。
一方、9月の初旬、秋風に黄色の花びら、中心がベージュの頭、背丈も高く、緑の葉を持ってゆったり風になびく姿もなんとも言えません。
私には年齢のせいでしょうか、後者のひまわりにこころ惹かれます。ふと目蓋を閉じるとね、真っ黒な網膜にだんだん一面が黄色っぽくなってきて、広大なヒマワリ畑じゃないですか。風に吹かれて首をかしげるひまわり達。…1970年のイタリア映画「ひまわり」、マルチェロ・マストロヤンニとソフィア・ローレン共演の悲恋物語のヘンリー・マンシーニ作曲のメインテーマ曲が流れています。
そこで駅が浮かび上がってくる。再びこの古い跨線橋に目線を注ぐ。胸が詰まってくる。始まりと終わり。出会いと別れ。…駅って改めて、人生の縮図を思わせる。植物たちにも折々、四季のふしめがちゃんとある。盛りを過ぎたひまわりに郷愁を残していたが私が野菜作りをしている畑の前の竹林に突然のようにあちこちに真紅の彼岸花が咲き始めている。もう、お彼岸なんだなあと感慨深い。